この度 EBSCO(以下弊社)では、EBSCO eBooks の DRM(デジタル著作権管理)ソリューションを、Readium Licensed Content Protection(Readium LCP)に移行することになりました。LCP は、オープン標準とアクセシビリティの推進に取り組む非営利団体 EDRLab によって開発・維持されている仕組みです。LCP の導入により、書籍の全文ダウンロードを最新のものにすると共に、毎日の図書館業務フローの継続性も確保します。 

去る1月29日、弊社米国本社では、北米(英語圏)のお客様を対象に、今回の移行について具体的な運用面のポイントを解説するオンラインセミナー(ウェビナー)を開催しました。まずはご多忙の中、図書館コミュニティから多くの方にご参加を頂き、また活発な質疑応答を頂きましたことを御礼申し上げます。当日、皆様から頂戴したご質問は、主に次の3点に集中していました ——「何が変わるのか」「何が変わらないのか」そして「図書館側は何をすべきか」です。 

本記事では、質疑の概要を、これらテーマごとにまとめてご紹介します。 

技術的な文書、スクリーンショット、移行の手引き、端末の互換性といった詳細情報は、EBSCO Connect に掲載されている LCP DRM FAQ をご参照下さい。

実際に何が変わるのですか?

LCP への移行による影響を受けるのは、DRM 保護されたコンテンツの「書籍全文ダウンロード(貸出)」のみです。図書館利用者がコンテンツをオフラインで読むために書籍の全文をダウンロード(貸出)する際、以下の点が変更になります:

  • Adobe Digital Editions ではなく Thorium Reader を利用します 
  • ダウンロード(貸出)したタイトルを閲覧する際、初回のみパスフレーズを入力します 
  • Adobe ID(アカウント)の作成・管理が不要になります 

今回の移行により、オフライン環境での読書を、最新のアクセシビリティ要件 / オープン標準に沿った形へ移行します。なお、多くの図書館では、書籍全文ダウンロード(貸出)は電子書籍へのアクセス全体の約5%前後を占めるにとどまります。

変わらないことは何ですか?

「何が変わるか」と同じくらい重要なことは「何が変わらないのか」です。以下の点については、LCP DRM への移行後も変更はありません。

  • オンライン状態での EBSCO eBooks ブラウザ版ビューア上での閲覧 
  • 章(チャプター)単位のダウンロード(=これまでどおり DRM なしの PDF)
  • DRM 保護されていない書籍の全文ダウンロード(貸出)
  • MARC レコード
  • ILS 連携
  • 利用者の認証・パーソナライズ要件
  • EBSCO eBook Manager の管理者向けコントロール

図書館(管理者)の皆様は、これまでと変わらずコレクション管理、ディスカバリー導線、利用者アクセスの管理を行っていただけます。

図書館側で必要な対応はありますか?

多くの図書館--特に電子書籍の全文ダウンロード(貸出)機能を無効にしている場合と、既存のワークフローを継続する場合)、必要な対応は最小限(もしくは対応不要)です。

現在、DRM 保護された書籍の全文ダウンロード(貸出)を許可している図書館では、実務的には次の3点をご確認頂くと宜しいかと思います: 

  • EBSCO eBook Manager でダウンロード(貸出)に関する設定を確認する
  • 自機関内で Thorium Reader を利用する(させる)のに承認が必要な場合は、IT 部門に事前の確認を行う 
  • Adobe Digital Editions に言及している利用案内等の資料を更新する 

お客様が上記準備のために時間を要する場合には、書籍全文ダウンロード(貸出)を一時的に無効化し、準備が整い次第再度有効化することもできます。 この手順の詳細と技術仕様は EBSCO Connect でご案内しています。

利用者側で行うことに何か変更はありますか?

DRM 保護された書籍を全文ダウンロード(貸出)する利用者は、オフラインでの閲覧のため Thorium Reader を(ご自身が利用する端末に)インストールして頂くことになります。 

以下の点はこれまでと変わりはありません: 

  • 書籍の全文ダウンロード(貸出)時は、引き続き MyEBSCO アカウントを利用します
  • ダウンロード(貸出)したタイトルは、引き続き最大6台の端末で利用可能です

一方で、ブラウザ上でのオンライン閲覧や、章単位でのダウンロード(貸出)手順はこれまでと変わりません。

Thorium Reader には、表示設定の調整、テキスト読み上げ(Text-to-Speech)機能、注釈、ブックマークなどのアクセシビリティ対応の機能が含まれます。機能の一覧と対応端末の詳細は EBSCO Connect でご確認ください。

移行のタイムラインを教えて下さい

この移行の一環として、EBSCO eBooks をご契約のすべての図書館は2026年4月(※一部のお客様は2026年5月)に Readium LCP DRM が自動的に有効化されます。

なお管理者(図書館)側は、これまで通り EBSCO eBook Manager を通じて書籍の全文ダウンロード(貸出)の可否を管理したり、自機関の運用に合わせ各種設定を調整 / 制御したりすることができます。

なぜこの移行が重要なのですか?

LCP は、安全でアクセシブルなデジタルコンテンツに関する ISO 標準に準拠していると共に、EAA(欧州アクセシビリティ法)および ADA Title II(米国「障害をもつアメリカ人法」第II編)に定めるアクセシビリティ要件とも整合します。

非営利団体が運営する標準準拠の DRM フレームワークへ移行することで、弊社は以下の点をサポートしたいと考えています:

  • 長期的な相互運用性(interoperability) 
  • アクセシビリティを重視した設計 
  • ベンダー独自のアカウント体系への依存度低減 
  • 持続可能なデジタル提供基盤

私共の目標は、オフラインダウンロードを最新化しつつ、図書館の皆様が必要とする安定性と業務フローを維持することです。

サポート資料はどこで閲覧できますか?

この記事は、オンラインセミナー内で特に多く寄せられたご質問への回答を概観頂けるようまとめたものです。
より包括的な FAQ、スクリーンショット、アクセシビリティ関連資料、移行のスケジュール、テストファイル、端末の互換性に関する詳細は、EBSCO Connect にて公開して参りますので、そちらをご参照下さいますようお願いします。